2022年に読んだ本

ゲームと同様読んだ本を忘れないために2022年に読んだ本を書いておく。ほとんどSF、もちろんネタバレはなし。一応読んだ順に並べています。

華氏451

3月ぐらいにおがさわら丸の行きの便で読んだ気がする。
1984年』とかに並ぶ有名なディストピアもので、いつか読もうと思ってたので読んだ。
焚書が行われている世界で、一切の本の所持が禁止。人々はTVやラジオによって思考を支配され、自らが考えることを放棄してしまっているという少し耳の痛い話。主人公は本を燃やす昇火士という職業でありながら、様々な出来事がきっかけとなり自らの行動に疑問を持っていく。
多少難解な部分はあるが、文量も多くなく面白かったと思う。
「ファスト映画」とか「動画の倍速視聴」とか、そういったものを予見しているかのような記述もあり、SF作家の先見性の凄さがわかる。
作中、様々な名著の文を引用しまくる場面があり、知っていればさらに楽しめるかも。脚注はあったけど、教養のない自分にはほとんどわからなかった。

星を継ぐもの

おがさわら丸の帰りの便とかで読んだ。
月面で人間そっくりの遺体が発見され、その正体がなんなのかを科学技術を基に解き明かしていく物語。俗に言うハードSF作品。

「ハードSF」とされる作品群においては、科学技術、とくに既知の天文学・物理学・化学・数学・工学技術などの正確で論理的で厳密な描写と、これらの科学知識に裏付けられた理論上可能なアイデアが中心となっている、とされる

ハードSF - Wikipedia

様々な分野の知識を用いて論理的に謎を解明していく様が読んでいてとても面白かったし、それでいて「フィクション」の部分もしっかりと作られていて文句なしの名作。「星を継ぐもの」の意味も納得で、月を見るたび感慨深い気持ちになれる。
科学技術や宇宙はもちろん、生物学とかが好きな人にもおすすめ。

プロジェクト・ヘイル・メアリー

6月あたりに読んだ。これもハードSF?
主人公が記憶を失った状態でたった一人宇宙船の中で目覚めるところから始まる。
徐々に明らかになっていく状況、経緯が良い塩梅で、ハードカバーでわりと分厚い本だけどすらすら読めた。上巻を読み終えたら先が気になりすぎてすぐに下巻を買うことになると思う。
こちらも宇宙とか科学技術は勿論、生物学的な要素が好きな人におすすめ。
前述の『星を継ぐもの』と、『プロジェクト・ヘイル・メアリー』、次の『三体』は『Outer Wilds』というとんでもない名作ゲームと同様の「センス・オブ・ワンダー」(と言うらしい)が得られるという情報を見て読んだのだが、見事にその通りだった。
映画が制作中らしいが、予告とかで結構ネタバレされる気がするので気になった人は今のうちに読んでおいたほうが良いとされている。

センス・オブ・ワンダー(英語: sense of wonder)とは、一定の対象(SF作品、自然等)に触れることで受ける、ある種の不思議な感動、または不思議な心理的感覚を表現する概念であり、それを言い表すための言葉である。

センス・オブ・ワンダー - Wikipedia

三体

7~8月あたりで読んだ。多分ハードSF。
中国発の化け物SF超大作。本国では結構前に完結していたらしいが、日本語訳版の最終巻(3-下)は2021年に発売。
ハードカバーで大体500ページ近くあり全5冊と、かなりハードルが高いけれど、とんでもなく面白かった。
序盤の粒子加速器の話に始まり、宇宙とか物理学とか量子力学とか化学とかめちゃくちゃ専門的っぽい要素が大量に出てくるのに、説明や展開がわかりやすくて分かった気になれる(ちょくちょく調べながら読んだが)。
どこかで「人間の想像力の限界」と紹介されていたが、まさにその通りで、これを超える超展開が続く作品はそんなにないんじゃないかと思う。これもアニメとか映画の制作が進んでいるらしいが、文字を読んで自分の頭の中で想像しておくべきだと思う。
最初の1巻『三体』の序盤だけ少し小難しくて退屈に感じるかもしれないが、それ以降は本当に先が気になる展開がずっと続くのでスラスラ読めると思う。

三体X 観想之宙

『三体』シリーズの公式スピンオフ。宝樹という人が『三体』が好きすぎて二次創作をファンサイトで公開していたら大反響があり、『三体』著者の劉 慈欣公認のスピンオフ作品として出版されたらしい。
公認とはいえシリーズの地続きというわけではなく、可能性の1つを描いたまさに二次創作的な作品。作中で触れられた物事の続きだったり、一方その頃的な描写をかなり自由に書いている。
あくまでスピンオフ作品という位置づけながら、大作過ぎる本編を読み終わって三体ロスになっている人を見事に救済してくれる。

星の王子さま

とあるゲームでモチーフとしている話があったのもあり、実家に置いてあったので読んだ。
有名過ぎる本だけど読んだことは無かったし絵本的な児童書だと思ってたが、その実内容はとても哲学的で難しいものだった。

宝島

これも実家にあったので読んだ。
古典的な作品だし本自体も結構古いものだったので、翻訳も古臭くて少し読みにくい部分もあったが、結構面白かった。
これもタイトルからして子供向けの明るい作品だと思っていたが、殺し殺されで結構血生臭い冒険の話だった。
登場人物の一人、ジョン・シルバーのキャラクター像が見事でとても印象に残っている。

三体0【ゼロ】 球状閃電

12月に日本語訳版が発売されたので読んだ。ハードSFだろう。
『三体』シリーズの作者が、『三体』を執筆する前に連載していた作品だそうで、シリーズに直接的な繋がりはない。
作者が実際に遭遇したことのある「球電」という実在する未解明の現象に対し、これまた凄まじい想像力で物語が展開される。
この作品もやはり学術的な内容が多く出てくるが、なんとなくわかった気にさせてくれるし、難解だと感じないぐらいには面白かった。
今年には同作者の『超新星紀元』の日本語訳版が発売されるらしいので、楽しみにしている。

総括

2022年は人生で一番文字を読んだ年だったかもしれない。『三体』シリーズのようなハードカバーの分厚い本も今まであまり読んだことがなったので新鮮だった。SF以外も読んでみようかなあと思いつつ、今後もセンス・オブ・ワンダーを求めてSFばかり読むことになる気がする。